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JR東日本ステーションサービス<br>駅の「安全・安心」を支えるプロフェッショナルの理念

JR東日本ステーションサービス
駅の「安全・安心」を支えるプロフェッショナルの理念

JR東日本ステーションサービスは、JR東日本管内の首都圏を中心とする330カ所以上の駅の運営を受託。駅を利用されるお客さまの安全と快適をサポートするため、3,400人以上の社員が一丸となって業務品質の向上に取り組んでいる。その企業理念と、独自の成長戦略を紹介する。

お客さま本位の業務改善に果敢に挑む

 JR東日本ステーションサービス(JESS)は、JR東日本グループが掲げる「究極の安全」「サービス品質の改革」「地域との連携強化」の実現に向け、駅業務を専門的に担うために2013年に発足した会社である。東京、横浜、千葉をはじめとするJR東日本の首都圏エリア7支社管内の駅業務のほか、「JR東日本営業研修センター」や「JR東日本運輸収入センター」の運営を受託している。中核事業の駅業務では、きっぷ精算等の改札業務や、みどりの窓口でのきっぷや定期券の発売などを通じて、日々多数のお客さまにサービスを提供している。
 「鉄道の運行会社ではない専門会社が駅業務を担う目的は、駅における業務品質を高めることにあります。その主体となるのは各駅で働く個々の社員ですから、当社はまさに『人が財産』の会社だといえます」と話すのは、北村壽秀代表取締役社長。
 JESSは駅の安全性や利便性向上に資するさまざまな施策を推進しているが、その一例として、15年に導入された「駅務管区制」が挙げられる。これは社員を単一ではなく複数の駅に柔軟に配置するもので、業務の見える化や標準化に大きな役割を果たしている。また、「より多様な業務に携わることは、社員が幅広いスキルを身に付け成長するための機会ともなります」と経営企画部の原基幸次長は言う。
 「駅業務サービスの戦略会社」を自任するJESSが大切にしているのは、お客さまの目線に立った業務改革を積極的に行う姿勢だ。ある駅では、券売機の現金回収やきっぷの補充等を行う業務が混雑する時間帯に行われており、その間、お客さまへの対応が手薄になりがちな実態があった。これを改善するため、時間帯別の利用状況を分析し、混雑時でも十分なお客さま対応ができる環境を構築。この駅業務改善の取り組みは「JR東日本社長賞」を受賞した。
 「受託会社だからと受け身になることなく、社員自らが考え、サービス品質の向上を推進する。当社にはそうした企業風土が醸成されています」(北村社長)

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北村壽秀 代表取締役社長

サービスの遠隔化などで業務生産性の向上を追求

 JESSは近年、改札業務の遠隔応対などによる業務生産性の向上にも注力。これまでも、一部の駅で早朝深夜等のお客さまの少ない時間帯の改札業務を、係員が離れた場所から対応できるようにすることで、お客さまの利便性を阻害することなく、駅業務の生産性を向上させてきた。このことは、働きやすい職場をつくることにもつながっている。
 この経験は、今年3月のダイヤ改正より常磐線の復旧区間5駅に導入された「話せる指定席券売機」にも活かされている。通常の指定席券売機として利用者自身が操作できるほか、遠隔地にいるオペレーターがモニター越しに案内することで、安心してきっぷを購入できる仕組みを整備した。オペレーターには、優れた接客スキルとみどりの窓口業務の知識を有する4名の社員が集まった。駅業務部話せる指定席券売機コールセンターの林佳代子さんもメンバーの1人だ。
 「以前は駅で改札やみどりの窓口業務に携わっていました。その経験を生かして、お客さまとは対面で会話している感覚で、スムーズにきっぷをお求めになれるようサポートしています。お客さまが何をお望みなのか、どんなことに困っていらっしゃるのかを察する力が求められますが、それだけに大きなやりがいを感じます」と林さん。
 駅業務部話せる指定席券売機コールセンターの船山大介室長はそんなオペレーター1期生たちに対して、「新たなビジネスモデルの立ち上げを担っているという意識を持って、遠隔発券の仕組みがこれからのお客さまサービスに資するよう、高水準のサービスを提供してほしいですね」と、熱い期待を寄せている。

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駅業務部話せる指定席券売機コールセンターの林佳代子さんと船山大介室長、経営企画部 原基幸次長

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話せる指定席券売機コールセンターの様子。利用者と対面で話をすることができるが、モニター越しのために実際の窓口よりもテンポの良い応答が要求される

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利用者の介助や案内もJESSの大切な業務の一つ。分かりやすい言葉で、お客さまの目線に立った心の通った対応を心掛けている

自発的な学びを促す研修制度を拡充

 サービス品質向上の源となるのは、社員が生き生きと働ける環境にある。
 「当社は近年、ダイバーシティや福利厚生の拡充に努めるとともに、社員育成のための研修制度の整備にも注力しています」(北村社長)
 現在、入社後の経歴や目的別に約30コースの研修プログラムが設けられ、社員の自発的な研さんを促す公募制の研修も整備されている。そうした研修の中核を担うのが人材開発部だ。同部は「JR東日本営業研修センター」の運営も担っている。
 「当センターでは、実際に駅で用いられているものと同じ販売機器などを備え、実践的な研修を通じて社員のスキルアップを図っています」と話すのは、研修の講師も務める人材開発部の皿田義行課長。
 JESSにとって急務となっているのが、リーダーシップを備えた社員の育成である。まだ若い会社であるだけに、従来はJR東日本からの出向社員が管理者を務めることが多かった。だが、今後の発展のためにはJESS社員が主体的に組織を牽引していく必要がある。そこでJESSは、19年度に「リーダーアカデミー」を開設。応募者から選抜された社員を対象に、将来管理者になるための意識付けや能力開発を促す研修を開始した。
 「各職場の管理者からは、『受講した社員の意識や行動が確実に変化した』という声が寄せられています。どの職場もリーダーの資質を備えた社員が養成されることに大きな期待を抱いており、その期待が受講者のモチベーションを高めているという効果も認められます」(皿田課長)
 研修を企画し、講師も務める人材開発部の野澤健大さんは、「どの受講者からも、将来会社を引っ張っていきたいという意気込みが感じられます。彼らの前向きな意識は、研修終了後の各職場でもしっかりと行動となって表れているようです」とその成果を語る。

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複数の自動改札機を設置し、さまざまなパターンに対応できる実機研修も必須だ。研修では講師も務める人材開発部の皿田義行課長(左上)と野澤健大さん(左下)

 人材開発部では今後、職場内教育の向上を目的に「OJTスキルアップ研修」を新規に立ち上げ、社員育成に一層力を入れていく計画だ。
 リーダーの養成だけではなく、幅広い社員が多様なスキルを身に付けるためのプログラムも用意されている。「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催に向けては、訪日外国人への対応力を強化するための各種研修を実施。開催期間中、競技場に近いエリアの駅に、別エリアの駅から応援スタッフを派遣するなどのトライアルも行い、万全の体制を整えるべく努力している。こうした取り組みは東京2020のみならず、今後ますます増大することが見込まれるインバウンドに的確なサービスを提供するための基盤ともなるはずだ。

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2019年度4月の入社式。駅業務サービスのプロを目指して、毎年大勢の学生が入社する

人にしか提供できないサービスを大切にする

 今年3月に開業し、JESSが受託した高輪ゲートウェイ駅では、最先端のAI技術を活用した案内ロボットや清掃ロボットが活躍している。さらには、タブレット端末や自動翻訳機を活用した接客を行うなど、近年の駅業務の在り方は大きく様変わりしているが、北村社長は「いくら技術革新が進んでも、人にしか提供できないサービスがある」と考えている。
 「例えば案内ロボットはトイレをお探しのお客さまに場所をお伝えできますが、ただトイレに行きたいだけではなく、体調を崩されている可能性もあります。そうであれば、医務室へご案内することが必要なケースもあるでしょう。個々のお客さまの表情や状況を察して柔軟に対応することは、人間にしかできないことです。業務生産性を高めるには自動化や機械化も必要ですが、人が提供する心の通ったサービスも同時に充実させ、両者のバランスを図ることが重要です」(北村社長)
 北村社長の話すことは、JESSが企業理念として掲げる「お客さまにやさしい駅」「安全で安心してご利用いただける駅」「地域の皆さまに愛される駅」を実践するための道筋ともなる。
 「『人が財産』の会社であるが故に社員一人ひとりの成長が会社の成長を創ります。サービスを含め駅の業務品質を向上させていくためには、失敗を恐れず、スピード感を持ってチャレンジできる人材を求めています。コミュニケーションを通じて、地域に貢献しようとする社員をサポートしていくことが、社員と会社の成長へとつながっていきます」と北村社長は将来を担う社員への期待を語った。

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JR東日本の駅業務を運営するJESSにとって、この「3つの駅づくり」が企業理念だ。顧客との重要な接点である「駅」におけるさらなるサービス向上を目指し続けている

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