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新しい学びのかたち──「学ぶ」をまなぶ<br>【新しい学びのかたち】 Case.2<br>「集う」から「つながる」へ──<br>駅を異業種混交の「学び場」にする

新しい学びのかたち──「学ぶ」をまなぶ
【新しい学びのかたち】 Case.2
「集う」から「つながる」へ──
駅を異業種混交の「学び場」にする

ヒト・モノ・コトが縦横に行き交う駅というリアルな空間を舞台として多彩なバックグラウンドを有する社会人が集い、協働で新規ビジネスを創出する「JRE Station カレッジ」。JR東日本が研究者集団・リバネスとともに運営する同カレッジのコンセプトと取り組みを紹介する。

交差するパッションと創造的なクエスチョン

 キャンパスは地域の拠点である駅。そこに集った異業種・異分野の社会人がチームを組み、4カ月間でサステナブルビジネスをつくりだす──。「JRE Station カレッジ」がスタートしたのは2021年のことだ。
 JR東日本マーケティング本部くらしづくり・地方創生部門事業推進ユニットの上田佑斗さんは誕生の経緯についてこう説明する。
 「駅の空間と機能を進化させ、新たな価値を提供するにはどうしたら良いか。出た結論は『つながる』を創り出すことでした。22年に鉄道開業150年を迎え、次の150年では、われわれ自身が社会課題の解決に取り組むべきという問題意識も背景にありました。それらを満たすには、熱意を持った人々が知識と問いを駅に持ち寄り、課題解決につなげていく仕組みを作れば良いと考えたのです」
 そこで、多数の研究者が在籍し、人材育成プログラム開発も手がける株式会社リバネスと提携。カリキュラム作成やゲストスピーカーの選定などを協業で開始した。

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上田 佑斗さん
JR東日本 マーケティング本部
くらしづくり・地方創生部門
事業推進ユニット

ビジネスモデルを生み出しその実証実験まで支援する

 現在、JRE Station カレッジでは、2023年度前期講座として、水辺と環境・まちづくりをテーマにした「エコテックコース」が開講されている。講座は4カ月・全8回のカリキュラム(前半は講義、後半はゼミ活動)で構成。平日夜に、キャンパスとなる東京駅構内の「STATION DESK 東京 premium」に、受講生である社会人たちが集う。
 講義では、サステナブルビジネスを生み出すために必要な18の考えを学ぶ。最先端の知見をインプットできるよう、ディープテックベンチャーの経営者など毎回異なるゲストスピーカーが登壇する。一方、ゼミ活動では3~4人程度のチームを組み、受講生自らが掲げる社会課題を解決できるビジネスモデルを練り、最終的にプレゼンする。
 「ゲストスピーカーには、各チームへのヒアリングや技術提供など、一緒にビジネスモデルを生み出す手助けをしていただきます」と、同事業推進ユニットの田中希使さんは語る。

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田中 希使さん
JR東日本 マーケティング本部
くらしづくり・地方創生部門
事業推進ユニット

 各チームが生み出すビジネスモデルは単なるアイデアで終わらない。社会的有用性や採算性などを事務局側が審査し、可能性があるモデルには最大50万円の助成金が支給される。カリキュラム終了後はこれを元手に、実証実験や試作開発等、新規ビジネス創出につなげてもらうことが狙いだ。

13件のカレッジ認定 プロジェクトが進行中

 参加者は企業派遣が主で、バックグラウンドは実に多種多彩だ。業種・職種はさまざま、年齢層も20代~50代まで幅広く、役職も一般社員から執行役員までいる。
 「各チームとも、ゼミの日だけでなく夜間や休日など仕事の合間をぬって、オンラインでミーティングを進めています。講師から厳しいフィードバックを受けることもありますが、皆さま前向きに取り組んでいます」(上田さん)
 23年5月までに13件のカレッジ認定プロジェクトが動いている。
 「注目すべき一例として、社会課題解決に向けて自ら取り組み、研究を続ける中高生と、企業・投資家・研究者をつなぐ『場』づくりを目指す『活動家ラボ』プロジェクトがあります。23年4月に中高生6組と大人サポーター12名がメタバース上で集うイベントを開催しました。その成果を踏まえ、今では収益確保の手段などを議論しています」(田中さん)

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 受講生からは、「課題発掘力と思考法が身に付いた」「普段接する機会がない異業種・異分野の方と出会い、新たな一歩を踏み出す勇気を得た」といった、充実感のある声が届いているという。
 今後はカレッジの地方展開にも注力していく。23年6月からは「越境×実践型スタートアッププロジェクト」を展開する「100 DIVE」と提携し、新潟・長野・熊本の各エリアでローカルビジネス創出に挑むプロジェクトをサポートしている。
 「ビジネス創発で社会課題解決を実現するというビジョンを一にする事業者がタッグを組むことで、魅力溢れる地域が日本を牽引する原動力となる未来を目指しています。そこでは駅を運営する社員がカレッジの運営も担い、それぞれの地域の課題を解決するためのハブとなる将来もあり得ると思います」(上田さん)
 異業種の人材が「学び場」としての駅を舞台に生き生きと「つながり」、その地域に根差したサステナブルビジネスを生み出す。そんな未来が訪れる日も、遠くないかもしれない。

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