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JR東日本レンタリース<br>鉄道とレンタカーをシームレスに利用できるサービス提供に力を注ぐ

駅に到着後、すぐに笑顔で迎えてくれて利用できるのがJR駅レンタカーの強みだ

JR東日本レンタリース
鉄道とレンタカーをシームレスに利用できるサービス提供に力を注ぐ

JRの駅構内や駅近くに営業所を構え、鉄道利用者を中心に便利なサービスを提供するJR東日本レンタリース。コロナ禍の苦境においても新たな商品プランを開発し、さらに利便性の高いサービスの提供を実現している。そんな同社のチャレンジと今後の展望について紹介する。

鉄道直結という強みをさらに強化するために

 普段、JRの駅をよく利用する方であれば、「JR駅レンタカー」の看板を掲げたレンタカー店舗にきっと見覚えがあることだろう。このうちJR東日本エリア内の店舗運営を担っているのが、JR東日本レンタリース株式会社だ。
 同社のレンタカー事業の強みは、何と言っても駅から至近の場所に営業所を構えており、お客さまは列車を降りたその足で、すぐにサービスを利用できること。そのため同社の商品も、JRの切符と組み合わせて買うと割引になるプランが数多く用意されている。
 営業本部レンタカー部課長の大槻哲也さんは「当社はこの強みをさらに強化するため、ここ数年、お客さまが鉄道とレンタカーをシームレスにご利用できる環境を整えることに力を注いできました」と語る。
 そのために重視しているのが、JR東日本との"連携"である。
 2021年、JR東日本ではインターネット座席予約サービス「えきねっと」のリプレイスを実施した。その際に同社はJR東日本と打ち合わせを重ね、「えきねっと」のトップページや購入完了画面から同社のレンタカー予約サイトにスムーズに遷移できるシステムへと、改善を実現した。レンタカー部副課長の髙橋悠介さんは次のように話す。

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営業本部 レンタカー部
課長 大槻 哲也さん(中)、副課長 髙橋 悠介さん(左)、副課長 笠井 淳さん(右)

 「以前は『えきねっと』経由でも当社のレンタカーを予約する際には、お客さまに個人情報を都度入力いただく必要がありましたが、リプレイス後はその手間が無くなりました。切符とレンタカーの双方をシームレスに予約できる仕組みを構築できた結果、『えきねっと』経由でレンタカーを予約されるお客さまの数は、以前の2倍以上となっています」
 さらに、お客さまの切符の購入チャネルがインターネットへと移りつつあることを踏まえ、「えきねっと」からチケットレスで列車の指定席を予約し、レンタカーも予約して利用した方を対象に、JRE POINT(※1)を付与する「えきねっと+駅レンタカープランneo」の販売も開始。これはお客さまへのサービス向上だけでなく、レンタカー利用によって貯まったポイントを鉄道や駅ビルなどで利用してもらうことで、グループ全体の収益向上に貢献するという狙いもある。
 他にも近年、サービス向上につながる施策を次々と打ち出している。例えば、お客さまが24時間利用できるカーシェア型の無人貸渡サービス「駅レンタカー・セルフ」もその一つ。また複数の営業所を総合モビリティ販売拠点に位置付け、通常の車に加えて、電気自動車や燃料電池自動車、電動バイク、電動キックボードなどさまざまな輸送手段を提供するというサービスも始めた。
 「燃料電池自動車は環境に関心のあるお客さま、電動キックボードは街を楽しく回遊したいというお客さまなどに好評です。今後はニーズを探りつつ、さらに拠点の拡充を図りたいと考えています」とレンタカー部副課長の笠井淳さんは、抱負を語った。

※1 JR東日本のポイントサービス。鉄道利用やSuica決済などで貯めたポイントを、Suicaへのチャージや駅ビルでの買い物などに利用できる。

駅と協力してお客さまへのPRを実施

 同社とJR東日本との連携は、現場レベルでも盛んに行われている。例えば、新潟県にある燕三条営業所とJR燕三条駅では、サービスに関してお互いに協力可能な取り組みについて協議するため、年2回会議を開催。具体的には、駅の構内放送で同社の商品について宣伝をしてもらったり、構内にポスターを掲示してもらったりといったサポートを得ている。燕三条営業所長の小川恵さんは次のように話す。

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燕三条営業所長
小川 恵さん

 「小さな営業所単体で独自にお客さまにPRをしたとしても、発信力には限界があります。そんな中で駅と関係性を築けていることが、大きな力になっています」
 22年12月には、長岡営業統括センター(燕三条駅)が主催した地域との交流イベント「鉄Go! 2022県央マルシェ」に、燕三条営業所も参加。営業所で取り扱っている電気自動車の「C+pod」を展示した。地域の方にPRする絶好の機会になったという。

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燕三条駅の社員とは、いつでも相談できる関係性を築いている

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燕三条駅でのイベントは、電気自動車「C+pod」を紹介する格好の機会となった

 一方、新潟営業所ではJR東日本駅たびコンシェルジュ新潟や新潟駅万代口観光案内センター、JR東日本ホテルメッツ新潟といった駅周辺の施設と、店頭にパンフレットを相互に置くなどの連携を行っている。またホテルメッツ新潟とは、ホテルに宿泊したお客さまが駅レンタカーを利用すると、割引になるという商品も展開している。

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グループ内外の新潟駅周辺施設と連携。互いにパンフレットを店頭に置くほか、共同でサービスを展開するなどしている

 もちろん、重視するのは営業所の外との関係だけではない。新潟営業所長の鹿山昌子さんはこう語る。

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新潟営業所長
鹿山 昌子さん

 「営業所内のスタッフ同士のつながりを深めることも、とても大切にしています。最近、当社で次々と新商品を発売する中、現場における一番の課題は、お客さまにそれぞれの商品の魅力を伝えるとともに、快適にご利用いただくための体制をいかに整えていくかということです。例えば、C+podの販売にあたっては、スタッフを少人数にグループ分けした上で、皆でアイデアを出し合うという場を設けました。営業所の運営は、スタッフの結束力なくしては成り立ちません」

環境にやさしい車を積極導入し知見を蓄積する

 レンタカー事業とともに、同社のもう一つの経営の柱となっているのがリース事業である。リース事業は、JR東日本グループの企業やパートナー会社への自動車のリースと、グループ外の法人向けへのリースの二つに分かれる。営業本部リース部係長の鶴村育巳さんはこう話す。

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営業本部 リース部
係長 鶴村 育巳さん(左)、係長 菅原 菜月さん(中)、野口 美帆さん(右)

 「グループやパートナー会社に対しては、鉄道の保守管理に用いられる軌陸(きりく)車など、特殊な車両のリースも行っています。そうしたことを含め、JR東日本の関連会社との連携が強固であることが当社のリース部門の強みです。一方で、グループ・パートナー会社以外の企業に対する営業活動にも、近年注力しています」
 JR東日本グループでは、50年度までにCO2排出量を実質ゼロにするという目標を掲げていることもあり、各社とも環境に対する意識が高い。これに対応するべく同社でも、電気自動車や燃料電池自動車など、環境にやさしい車の導入を進めている。またドライブレコーダーやテレマティクス(※2)など、安全装備の充実も図っている。「先日はJR東日本八王子支社に、1カ月間ほど電気自動車のモニターになっていただきました」と話すのは、リース部係長の菅原菜月さんだ。
 「加速がスムーズで運転しやすいとご好評だった一方、充電施設が不足しているエリアだと、長距離運転に不安を感じるといったお声もありました。今後はグループ外の法人からも環境にやさしい車へのニーズが高まることが予想されます。今から知見を蓄積し、グループ内外の企業へのご提案に活かしたいです」

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レンタカー部、リース部ともに環境対応への意識が高く、環境にやさしい燃料電池自動車「MIRAI」(上写真・左)や電気自動車の「C+pod」(上写真・右、下写真)の導入を進めている

 他方、安全面のサポートを通じて取引先に貢献した事例もある。
 「コロナ禍を受け、経費節減を要望されたお客さまに対して、まず費用の洗い出しを行いました。そのお客さまの場合、前年度の事故率が高く、保険料が上がったことが月額リース料高騰の原因となっていました。そこで、運転手を対象に『安全運転者講習会』を開催したところ、リスクを肌で感じていただくことで事故を未然に防ぎ、その結果として保険料低減による経費節減を実現することができました」
 リース部の野口美帆さんはそう振り返る。この講習会では、参加企業の車両に搭載されたドライブレコーダーから「ヒヤリハット映像」を抽出し、教材にしたという。
 「今後も保険会社と連携した『安全運転に関する勉強会』の開催を提案し、JR東日本グループ・関連会社の運転手の皆さまの安全に寄与していきたいと考えています」

※2 車両をパソコンやスマートフォンから一括管理でき、業務効率化・生産性の向上が図れるサービス。急ブレーキ・急発進など運転状況もチェックできるので、安全性の向上にも寄与する

社内外の連携によりグループ収益向上を目指す

 このように同社は、JR東日本グループを中心に、社内外の連携を非常に重視している。堀江和王代表取締役社長は今後の展望についてこう語る。
 「連携により、当社だけが利益を得るのではなく、例えばレンタカー事業でいえば、鉄道とレンタカーをシームレスに利用できる環境を提供することで、お客さまの利便性が向上し、JR東日本の鉄道やグループ全体のご利用や交流人口が増えることを目指しています」
 一方で堀江社長は、21年6月の社長就任以降、ボトムアップ型の組織づくりにも注力してきた。本社の実務責任者が一堂に会し、収益向上施策を議論し合う収支改善PTを毎週1回開催。その回数は1年半で既に70回を超えているという。
 「私が社長に就任した当時はコロナ禍の真っただ中で、会社は苦境にありました。そんな中でも中堅や若手の社員たちは、『この会社を何とか立て直したい』という熱意に燃えていた。その姿を見て、彼らの力をさまざまな施策の原動力につなげていきたいと思ったのです」
 そしてポストコロナに向け、人々の流動が再び盛んになろうとしている今、同社は社員の力と社内外の連携を最大の武器に、力強く前へと歩み出そうとしている。

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堀江 和王
代表取締役社長

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