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オフピークで何が変わるのか<br>JR東日本の取り組み<br>オフピーク定期券を通じ混雑の緩和、企業の働き方改革推進に貢献したい

オフピークで何が変わるのか
JR東日本の取り組み
オフピーク定期券を通じ混雑の緩和、企業の働き方改革推進に貢献したい

2023年3月18日、JR東日本は鉄道会社としては国内初となるオフピーク定期券の発売を開始した。その発売の経緯や目的について、担当者から話を聞いた。

お客さまの混雑に対する受容度が変わってきた

 JR東日本が発売したオフピーク定期券は、首都圏の平日朝のピーク時間帯「以外」に利用できる定期券で、通常の通勤定期券より約10%割安になるというものだ。一方で、通常の通勤定期券については、約1.4%値上げをした。これにより、多くのお客さまにオフピーク定期券への切り替えを促すことで、ピーク時間帯の混雑緩和を図ることを狙いとしている。JR東日本としては、対象エリア内のピーク時間帯の定期券ご利用者のうち、約5%に当たるお客さまがオフピーク通勤に移行いただけると見込む。
 このオフピーク定期券を導入した背景について、モビリティ・サービス部門の佐藤文宏マネージャーは、「新型コロナウイルスの感染流行が契機となりました」と語る。

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佐藤 文宏 マネージャー
JR東日本 鉄道事業本部
モビリティ・サービス部門
運賃・運輸収入ユニット

 「21年9月、お客さまに意識調査を行ったところ、『移動自粛等の制限がなくなった際にJR東日本に期待すること』として、半数以上の方が混雑緩和を挙げられました。コロナ前と比べて明らかに、混雑に対するお客さまの受容度が変化してきていると感じました」
 JR東日本ではこれまでも、車内空間を拡幅した新型車両導入等の設備面の強化や、湘南新宿ラインをはじめとした輸送体系のブラッシュアップにより、乗り換え時に生じる滞留や待ち時間を減らすことで、混雑緩和を図ってきた。しかし、さらなる混雑緩和を実現していくためには、従来の設備や輸送力強化だけでは限界があると判断。オフピーク定期券導入に踏み出したという。

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 JR東日本では、今回のオフピーク定期券導入に先駆けて、21年3月より「オフピークポイントサービス」をスタートさせている。これはSuicaの通勤定期券を利用し、JRE POINTに登録しているお客さまを対象に、ピーク時間帯の前後1時間に駅構内に入場した場合にポイントを還元するというもので、80万人を超えるお客さまが登録した。同サービス開始前より利用しているお客さまのうち、約5%にピーク時間帯を避けた傾向が見られ、ポイントの付与等がお客さまの行動を変容させる一定のインセンティブになり得ることが確認された。同サービスで知見を得たことが、オフピーク定期券導入の一つのステップになったという。同部門の見持昌史マネージャーは、次のように語る。

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見持昌史マネージャー
JR東日本 鉄道事業本部
モビリティ・サービス部門
運賃・運輸収入ユニット

 「オフピークポイントサービスは個人のお客さまを対象としたものですが、オフピーク定期券の場合は、企業さまなどが組織として導入を決め、オフピーク通勤が可能な従業員に支給することになります。つまり、対象となるお客さまの数も多くなり、混雑の緩和を実現する上で、より大きな効果が期待されます」

メリットとデメリットを丁寧に説明し理解を得たい

 鉄道事業法では、上限額の変更については、国の認可を受けることを義務付けている。今回のオフピーク定期券設定に伴う通常の定期券の値上げに関しては、導入によって増収とならないことや、混雑を緩和する効果があったかどうかを、3年をめどに検証することを条件に認可された。
 また認可にあたっては、お客さまに混乱が生じないよう、制度の趣旨も含めて丁寧な情報提供をしていくことも求められている。これを受けJR東日本は、オフピーク定期券に関するウェブサイトの開設、ポスターやパンフレット、新聞広告や中吊り広告の展開、そして企業への個別訪問による説明等で情報提供に努めている。
 「多くの企業では、部署ごとの勤務形態の違いなどから、全従業員に対して一律にオフピーク定期券を導入するとはいかず、通常の通勤定期券と併用されるかたちになると思います。会計処理業務の煩雑さが増すという点では、お手間を取らせてしまうことになります。一方でオフピーク定期券への切り替えは、通勤手当の抑制につながるというメリットもあります。そうした点を丁寧に説明しながら、皆さまのご理解を得ていきたいと考えています」(佐藤マネージャー)
 オフピーク定期券は、ピーク時間帯の混雑緩和だけではなく、人々の多様な働き方を実現していく上でも重要な役割を担う。JR東日本はオフピーク定期券を通じて、企業の働き方改革の推進にも貢献したいと考えている。

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オフピーク通勤は果たして普及するか、否か。これから3年をめどに検証がなされる

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