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未来の「食の新常識」<br>Case.2 コネクテッドロボティクス株式会社<br>絶妙なゆで加減でそばを調理するロボット

未来の「食の新常識」
Case.2 コネクテッドロボティクス株式会社
絶妙なゆで加減でそばを調理するロボット

生そばを取り出し、ザルでゆでて、水で締める──この工程を行うのは、たった1台のロボット。外食産業にとって、そんな救世主のようなロボットを提供するのが、コネクテッドロボティクス株式会社だ。

スタッフ一人分を省力化する全自動のそばロボット

 JR五反田駅に2022年6月にオープンした「いろり庵きらくそば五反田店」。株式会社JR東日本クロスステーションが運営する同店では、人ではなくロボットがそばを調理している。

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「いろり庵きらくそば五反田店」の外観と同店で一番人気の「かき揚げそば」

 実際に行ってみると、奥の調理場にはアーム2本の「そばロボット」が設置され、1本目のロボットアームが容器から生そばを取り出し、ゆでるためのザルへ投入。さらに、2本目のアームがゆでる、洗う、締めるを担当し、工程が完了する。スタッフは注文に応じて、そのそばを丼に入れ、つゆを注ぐなどして提供する。同店の一番人気の「かき揚げそば」を注文し食べてみたが、ロボットが調理したとは思えない、絶妙なゆで加減だった。

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ロボットアームが生そばを一玉ずつ取り出して(左)、熱湯の前で待機するザルに投入(右上)。ゆでる作業から先は2本目のアームの担当で、ゆであがった麺は洗われ、冷水で締められて(右下)調理完了となる

 同店の山本裕貴店長に話を聞くと、「約8時間勤務する従業員1人分の省力化につながっています。作業時間が軽減されたことで、その分お客さまへのサービスに特化できるようになりました。また、手作業によるミスなどのヒューマンエラーが軽減し、品質の均一性という面で、従来よりも向上していると思います」と、そばロボットの導入を歓迎していた。

より豊かで健康的な食産業にテクノロジーで貢献したい

 このそばロボットを開発したのは、東京都小金井市の農工大・多摩小金井ベンチャーポート(※1)内に本社を置く、コネクテッドロボティクス株式会社。前述のそばロボットをはじめ、これまでフライドポテトロボット、盛付ロボット、検品ロボットなどを開発。取材で同社を訪れた際には、ソフトクリームロボットがコミカルな声と動きで、冷たいソフトクリームを提供してくれた。
 「『いろり庵きらくそば五反田店』さまはスペースが限られ、レイアウトも従来品と左右反転するので少々苦労しましたが、もともとコンパクトで人とロボットの動きが干渉しないようにレイアウトできるのが、この製品の大きな特長の一つです」
 そう語るのは、沢登哲也代表取締役/ファウンダー(※2)だ。東京大学、京都大学大学院でソフトウエアについて学んだ沢登氏がコネクテッドロボティクスを創業したのは14年のこと。大学院時代のイギリス留学の折、スタートアップ企業でインターンをした経験から起業を目指した。そして17年から、飲食店向けの調理ロボットシステムの開発に着手する。

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沢登 哲也
コネクテッドロボティクス株式会社
代表取締役/ファウンダー

 「祖父母が飲食店をやっていたこともあり、大学院卒業後に興味のあった飲食店に就職したのですが、目の当たりにしたのは労働集約型の過酷な現実でした。飲食業でも人手不足が叫ばれていますが、必ずしも少子高齢化が原因ではないと考えています。そうした表面化されない課題をテクノロジーで解決し、おいしくて健康的な食品を楽につくれるようにしたい。もっと言えば、食産業で働く人たちが、より豊かな暮らしを平等に享受できるようにテクノロジーで貢献したい、と思っています」

※1 賃貸スペースとベンチャーサポート機能を持つ、インキュベーション(起業家育成)施設
※2 ファウンダー=創業者

食産業の全システムをロボティクスで変える

 同社が掲げるミッションは、「食産業をロボティクスで革新する」。持ち前のロボット制御技術と最新のAI技術を融合させ、食産業における労働集約型の作業を自動化し、スタッフがよりクリエイティブな仕事に注力できるようサポートする。冒頭で紹介した山本店長の言葉どおり、スタッフが盛り付けや接客に集中することで、よりきめ細かなサービス提供も可能になる。
 同社が対象とする食品はそばやうどん、ソフトクリームといった定番もの。「恒常的に食べられているものこそ、弊社製品が貢献できる余地が大きいと考えています」と沢登氏は言う。人とロボティクスの共存を図る上で、これからも食べ続けられるであろう定番の食品をターゲットとしたほうが、今後の技術発展に寄与するものが大きいからだ。

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ソフトクリームロボットは、発声・首振り機能を持つオリジナルキャラクターが見る人を楽しませる

 もっとも、同社が見据えるステージは飲食業にとどまらない。
 「環境問題や食糧問題を考えたとき、食産業は1次、2次、3次の全ての産業を一つのシステムとして捉える必要があります。さらには水産資源の問題まで含めた食の一連のシステムに貢献したいとも考えています。本質的な社会の変化を、ロボティクスでもたらしたいです」
 同社がミッションを「飲食業を~」ではなく、「食産業を~」としているのは、そんな思いからだ。
 20年12月には、JR東日本スタートアップ株式会社と資本業務提携を締結。26年までにJR東日本管内の駅そば店30店にそばロボットを導入する予定だ。
 日本の、そして世界の食産業を変えるかもしれない「フードテック」。その一端を、まずは駅そば店で味わってみるのも一興だろう。

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