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SDGs×JR東日本グループ<br>鉄道博物館<br>鉄道の知識を幅広い層に伝え<br>質の高い教育の普及に取り組む

鉄道博物館最大の展示室である車両ステーション1Fには、36両もの車両が展示されている

SDGs×JR東日本グループ
鉄道博物館
鉄道の知識を幅広い層に伝え
質の高い教育の普及に取り組む

JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「変革2027」のもとESG経営を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に取り組んでいます。今回は、鉄道開業150年という節目の年、鉄道のしくみや魅力をより多くのお客さまに届ける鉄道博物館の活動についてご紹介します。

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鉄道に関する知識を分かりやすく伝える

 私たち鉄道博物館の使命は、資料の収集・研究と教育普及であり、鉄道に関する資料を収集し体系的に保存・研究すること、これら実物資料によって鉄道システムの変遷を産業史として伝えること、鉄道の原理やしくみ、最新技術などを模型やシミュレータなどによる体験を通じて、分かりやすく伝えることにあります。
 当館のシミュレータは新幹線のE5系や蒸気機関車のD51形など、いずれもリアルな実写映像により、本物の運転感覚が味わえる質の高いものです。

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E5シミュレータは実物大で再現された運転席の前に実写映像を投影する大型湾曲スクリーンを設置。臨場感のある中で最高速度320km/h運転を体験できる(写真提供:鉄道博物館)

 また幅23メートル・奥行き10メートルで再現した鉄道ジオラマでは、複数の電車が同時発着する都市部の「高密度で正確な輸送」、都市と地方をつなぐ新幹線に代表される「高速輸送」という日本の鉄道の特徴を、実演プログラムの鑑賞で体験できます。

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線路の総延長は約1200m。総数約1400両からセレクトされたHOゲージの模型車両で構成された鉄道ジオラマは、さまざまな走行シーンを間近で見ることができ迫力がある(写真提供:鉄道博物館)

 このほか、日本の鉄道の歴史を1500点もの実物資料と映像、グラフィックで再現した「歴史ステーション」、鉄道に使われている科学原理を装置による実験を通じて体感する「科学ステーション」、列車運行、駅、車両製造、車両保守、設備保守、建設など、現在の鉄道のさまざまな仕事を映像と作業体験を通じて学べる「仕事ステーション」といった各コーナーでは、年齢を問わず、いずれも楽しみながら学んでいただけます。

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仕事ステーションでは、鉄道のプロの仕事に実際に触れ体験することができる。さまざまな鉄道のプロが連携することで、安全が支えられていることを学べる

 さらに「未来ステーション」では、研究開発中の最新技術を展示。アニメーションのストーリーを通じて、鉄道が描くサステナブルでより便利な未来を展示しています。
 展示の充実を図る一方、地元教育委員会と連携した小学生向け「ラーニングプログラム」の開発、お子さまが館内を巡りながら学習できる「ワークシート」の作成、10種の言語で利用できる館内展示解説アプリの開発など、お子さまから大人、また外国人まで、あらゆる方々への教育普及にも取り組んでおります。

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ホームページから出力できるワークシート。子どもが実際に体験しながらシートに記入することで、鉄道の原理やしくみを学ぶことができる。

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鉄路の摩擦の優位性を学ぶ体験トロッコ

鉄道に関する知識普及の教育施設として誕生

 ここで少し鉄道博物館の歴史をご紹介します。1872(明治5)年の鉄道開業から40年を迎えようとする1911(明治44)年、初代鉄道院総裁の後藤新平が鉄道に関する知識の普及を図るための教育施設開設を目指し、鉄道院内に「鉄道博物館掛」という組織を設置したことに始まります。
 この鉄道博物館掛が集めた8500点もの資料を収蔵・展示するため、1921(大正10)年10月に鉄道開業50周年を記念して東京駅北側高架下に初代の鉄道博物館を開設。その後、関東大震災の火災による焼失と復興を経て、36(昭和11)年に万世橋に移転しました。しかし、45(昭和20)年3月には戦争の激化により休館。そのまま終戦を迎え、戦後は米軍監督下で鉄道以外の交通機関も扱う「交通文化博物館」として再開し、48(昭和23)年には「交通博物館」と改称しました。
 その交通博物館の資料を引き継ぎ、2007(平成19)年10月、明治以降、日本の重要幹線が分岐する交通の要衝となった「鉄道のまち大宮」(さいたま市)に、現在の鉄道博物館として開館。18(平成30)年の新館建設に伴う全館リニューアルを経て、今年で15年を迎えます。今年はわが国に鉄道が開業して150年という節目の年です。初代鉄道院総裁の後藤新平が目指した鉄道に関する知識普及への志を私たちも引き継ぎ、鉄道ファンを増やす取り組みを通じて、質の高い教育を幅広い層の方々に普及していく活動を続けてまいります。

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[報告者]
岩見 隆則
公益財団法人 東日本鉄道文化財団 鉄道博物館 副館長 企画部部長

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