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ちょっとした空き時間もムダにしない!<br>──STATION WORKが提案する新しい働き方

ちょっとした空き時間もムダにしない!
──STATION WORKが提案する新しい働き方

多くの人が利用する「エキナカ」を中心に、高セキュリティーかつ快適な空間を提供する「STATION WORK(ステーションワーク)」。そのサービス内容を紹介するとともに、担当者に誕生の秘話や今後の展望について聞いた。

空いた時間に駅でも仕事ができる!?

 最近、エキナカで箱型の個室を目にする機会が増えたのではないだろうか。それらの正体は、JR東日本グループが展開するエキナカシェアオフィス「STATION BOOTH(ステーションブース)」。その名の通り、個室ブース型のシェアオフィスで、仕事に必要なデスク、Wi-Fi、電源などを完備。衛生面についても、定期的な清掃・消毒の徹底はもちろん、手指消毒剤の設置、抗菌・抗ウィルスコーティングなどの対策を施しているほか、強力な換気設備により1分間で部屋の空気が入れ替わるので、安心して利用することができる。

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「STATION BOOTH(ステーションブース)」の室内。利用は事前予約の上、登録したSuica/PASMOなどの交通系電子マネー、または発行された二次元バーコードをリーダーにかざすことでロックを解除して入室できる

 このSTATION BOOTHは、JR東日本グループのシェアオフィスサービス「STATION WORK(ステーションワーク)」の一形態で、他にもワークスタイルに合わせて座席タイプが選べる「STATION DESK(ステーションデスク)」、提携ホテルをシェアオフィスとして利用できる「ホテルシェアオフィス」といったサービスがある。2022年3月24日現在、全国467箇所に拠点があり、初期費用無料の会員に登録し、利用したいサービス・場所を予約すれば、どこでも必要なときに使うことができる。料金についても、STATION BOOTH、STATION DESKともに15分275円(税込)からと、ピンポイントかつリーズナブルに利用できるのもうれしいところだ。
 ところで、STATION WORKについて、今回のコロナ禍によって誕生したサービスだと思っている方も多いのではないだろうか。だが、実はこのSTATION WORK、コロナ禍よりも前の2019年から事業化し展開していたという。
 どのような経緯でSTATION WORKは生まれたのだろうか。担当者であるJR東日本事業創造本部新領域ユニットの中島悠輝さんに話を聞いてみた。

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卓上に手指消毒剤、ファンが置かれているほか、天井には1分間で部屋の空気を入れ替えることができる強力な空調が設置されている

駅員時代に思いついたSTATION WORKのサービス

 「以前は、品川駅で駅係員をしており、そのとき肩と耳で携帯電話を挟んで手帳に書き込みをされるお客さまや、特急をお待ちのお客さまがホームのベンチで膝上にノートパソコンを開いて仕事をされている姿を数多くお見かけしていたんです」と中島さん。その経験から、駅で手軽に使えるオフィスのニーズがあるのではないかと、おぼろげながらに考えていたという。
 転機となったのは、本社への異動。担当したのはオフィスビルの開発で、仕事のテーマは「働く」というものだった。いろいろな会社の人と名刺交換や意見交換会を重ねる中で、これからブースを製造しようとしているメーカーの担当者と出会う。
 「簡単に言うと、その方と意気投合したんですね。こういうブースが駅にあったら、世の中の働き方が変わり、お客さまのストレスの低減につながるのではないかと思いました」
 折しも、JR東日本は新たな成長戦略に挑戦するため、グループ経営ビジョン「変革2027」に取り組んでいる最中。以前なら、新事業を始めるためのハードルは高かったが、「変革2027」により、新しいことにチャレンジしようという社風が醸成されており、中島さんの企画は短期間で事業化のための実証実験に進むことになる。その間、企画書提出から数カ月。なぜ、そんなに早く進んだのだろうか。

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JR東日本 事業創造本部 新領域ユニットの中島悠輝さん

 「ブースのサイズは1㎡ちょっと。その大きさならば、エキナカの既存の店舗などを移転することなく導入できることが一つ。また、これまで駅は皆さまのもの、パブリックな空間だったことに対して、今回はパーソナルなことも提供しようという、従来にない駅の機能を付加しました。それを面白く感じてくれたのか、社内でも背中を押してくださった方が多かったことがあります」
 実証実験は、18年11月から19年2月までの約3カ月間、東京駅・新宿駅・品川駅の3駅で行われた。当初想定した以上に利用する人は多く、話題性だけでなく、本当に求められているサービスであることを実感。歩行者の邪魔にならないように外開きのトビラを内側に引き込む丸形に変えるなどの改良を行った上で、実証実験終了から5カ月後の19年8月に東京駅・池袋駅・新宿駅・立川駅の4箇所で、ブースの展開を開始した。企画書提出から、わずか1年足らずでの実現だった。
 STATION WORKについて、当初は3年間程度で30箇所の拠点を設けることを目標にしていたという。
 「うちの駅に置いてくれないかなど、もっと広げてほしいというお声を数多くいただきました。確かに、拠点の数が増えれば増えるほど、利便性は高まります。コロナ禍により世の中の働き方が大きく変わる中で、JR東日本グループのネットワークを生かし、他の事業者とも連携することで拠点の拡大を図っています」
 当初想定よりも拠点拡大のペースは、はるかに速まっており23年度末までに全国1000拠点のネットワークを築くことを発表。新たな拠点の構築に拍車がかかっている。

サービス・ご利用形態が広がりますます便利に

 当初、STATION BOOTHから始まったSTATION WORKだが、先にも触れたように、現在はSTATION DESK、ホテルシェアオフィスなど、利用者の選択肢は広がっている。
 「STATION DESKも駅を中心に展開しており、ブースとの違いは、席の種類が多いことです。通常の椅子タイプのほか、ソファータイプなどがあり、ブースに比べて多様性がありますので、ワークスタイルに合わせていろいろと選んでいただける楽しさもあります」(中島さん)

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JR東京駅の「VIEW GOLD LOUNGE」内にある「STATION DESK 東京 premium」。利用できるのは、会話不可のプレミアムシート「PREMIUM」8席と、1室最大4名が利用できる応接室「ROOM」の2室

 一方、ホテルシェアオフィスでは、JR東日本グループ運営の「JR東日本ホテルメッツ」「メトロポリタンホテルズ」などのほか、提携する外部ホテルをシェアオフィスとして使うことができる。STATION BOOTH、STATION DESKと同様、デスク、Wi-Fi、電源などを完備したレンタルスペースや個室を半日、1日などの長時間、ゆったりとリーズナブルな価格で利用できる。
 さらに、21年5月にはシェアオフィス業界の最大手「WeWork Japan 合同会社」とも提携した。これにより同社の運営するフレキシブルオフィス「WeWork」について、STATION WORKと連携した拠点を利用できることになった。こちらは22年3月24日現在、全国35箇所に展開しており、以後順次拡大していく予定だ。
 「ご利用方法も広がっています。STATION BOOTHはweb会議の利用などがダントツで多いのですが、一部拠点ではデスクを挟んで向かい合わせとなる2名用ブースが設置されています。そこでは親子で宿題をしていたり、ボードゲームをしていたり、カジュアルな使われ方もされています。もともとは「STATION WORK」というブランド名ですから、基本はワークかと思っていましたが、よく考えると英語の「WORK」は決して働くという意味だけではないんですね。勉強や研究、また作業といった意味も持っているので、本当にお客さまのワークを全て包含するようなコンセプトに昇華してきたのかなと思います」

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持ち込んだノートPCは設置されたモニターに接続可能。デスクは、ノートPC、A3用紙を広げても、なお余裕がある大きさだ

エキナカだけでなくマチナカに 日本全国の人たちに貢献したい

 STATION WORKは今後、どのようなサービスに成長していくのか。中島さんに抱負を聞いてみた。
 「22年度はずばり、全国展開の年にしたいですね。すでに、21年度も北海道の札幌駅などに設置したほか、場所も郵便局や官公庁の庁舎の中といったところに拠点を設けています。駅だけに限らず、公共性が比較的高いマチナカのサービスとの親和性を感じているので、今後、強化していければと考えています」
 これまでは東日本エリアの人々の生活を豊かにしていくことを主眼としてきたが、今後は加えて、日本全国で人々の働き方や時間の過ごし方をより上質にすることに貢献したい、と中島さんは話す。
 しかし、これだけの急激な拡大だ。人々の働き方を変えると同時に、STATION WORKの展開をとりまく働き方にも大きな変化が出たのではないだろうか。
 「現在、私も含めて10名ほどのメンバーで担当していますが、メンバーは各現場でもSTATION WORKをより多くの方に知っていただこうと、車内放送や構内放送、駅での説明会を行うなど、自発的に実施してくれています。まさに、このSTATION WORKはJR東日本グループ全ての社員に支えられ、一丸となって進めることで、現在の体制が構築できているといえます。もっとも、こんなに大きなプロジェクトになるとは思っていませんでしたが(笑)」

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「JR東日本グループだけでなく、鉄道会社も含めた他の事業者との連携を積極的に進めてSTATION WORKを広めていきたい」と中島さんは抱負を語ってくれた

 ちなみに、メンバーのうち半数ほどが、社内の公募制で集まった人たちだという。公募制は、駅員や車掌、運転士といった仕事をしている人が、いわゆる生活サービスに関する事業にチャレンジしようというものだ。さらに、メンバーの中には兼務で、日によっては鉄道の業務を行う人もいる。
 「STATION WORKは社会に新しい働き方を提案する一方で、社内的にも新しい働き方にチャレンジする役割も果たしていて、面白いと思います」
 STATION WORKは、鉄道だけでなく、生活サービスの事業を充実させていこうという、現在のJR東日本を象徴するプロジェクトなのかもしれない。
 現在のSTATION WORKの会員数は約20万人。それだけ多くの人たちの働き方に変化が出てきたといえる。今後、拠点が増えることで、どれだけの人に影響を及ぼしていくのか。今後の展開に目が離せない。

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