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地域発!世界を支えるものづくり<br>錦鯉の養殖でファンの裾野を世界に広げる

大日養鯉場では5年間上手に育てることで、錦鯉のサイズが90cmを超えるという

地域発!世界を支えるものづくり
錦鯉の養殖でファンの裾野を世界に広げる

今から200年ほど前、真鯉から突然変異した変種が観賞魚として養殖された。それが「錦鯉の起源」とされている。その発祥の地・新潟県中央部「二十村郷」と呼ばれた一帯は今も錦鯉養殖の中心地で、1969年創業の大日養鯉場もその一つだ。同社2代目の間野太社長に、養鯉にかける思いを伺った。

【Company Profile】
大日養鯉場株式会社
代表取締役社長:間野 太
本社:新潟県小千谷市三仏生4144-10
設立:1990年(創業1969年)
従業員数:21名
事業内容:錦鯉の養殖・卸売

父親が創業した錦鯉養殖、三兄弟で後を継ぐ

 二十数年前、創業者である父親が急逝したのをきっかけに、間野家長男の太さんは大日養鯉場(だいにちようりじょう)株式会社2代目社長となった。現在は次男・弘さん(専務)、三男・茂さん(常務)の三兄弟と20名ほどの従業員で会社を切り盛りしている。
 錦鯉養殖(養鯉)の基本的な仕事の流れは、親鯉が産卵した卵を稚魚にして育て上げ、自社所有の野池に放流。以降、成長段階を見ながら質の良さそうなものを選別し、それぞれ別々の水槽で成育していく。1年後には20~40センチ、2年後には60センチ前後にまで成長するという。また、重要なイベントとなるのが品種別・階級別などで錦鯉を競わせる品評会だ。そこで好成績を収めれば、愛好家の間でも「大日養鯉場の錦鯉がほしい」とのニーズが高まる。

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給餌の様子。餌も自社独自の配合を行っている

 市場においても品評会においても、良い錦鯉の条件は体型・質(=色あい)・模様の3条件。品種として人気が高いのは、白地に緋紋斑点がある「紅白」、白地に緋斑と墨斑の2色がある「大正三色」、大正三色より白地が少なく墨斑が多い「昭和三色」の「錦鯉御三家」だ。

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同社の錦鯉は全日本総合錦鯉品評会で大会総合優勝に輝くなど、高い評価を得ている

 「高品質な錦鯉を生産するためには、給餌や水質管理などの作業が欠かせませんが、何よりも重要なのが交配です。よい相性を見つけることが何よりも難しく、数年経ってみないと交配の正否が分からない部分があるし、上手にやらないと血統が絶えてしまうこともある。うちの場合は本店とトヨタ店(愛知県豊田市)のそれぞれで組み合わせを試行錯誤しています。良い組み合わせを見つけ、それを維持できるかどうか、それが腕の見せどころです」

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池の水のpH(※)、深さ、日照など、さまざまな要素を念頭に、養鯉に最適な環境を整えている
※水の性質(酸性・中性・アルカリ性)を表す単位

錦鯉は高級品!? ファンの裾野を広げたい

 1年間で養殖する錦鯉の数は「毎年数万匹」。売上の9割近くが1~2年モノだ。同社は卸売会社のため、そのほとんどが国内外の流通業者を通じて市場に出されるが、最近はコロナ禍による影響を受け、ネットオークションも始めた。
 「顧客の趣向も変化しており、昔はプロが見映えのする大きさまで育てた錦鯉が高級品として購入されるケースが多かったのですが、今は『自分の手で育てる』ことに移っているようです」
 国内外の販売比率は国内2割に対し、海外8割。「輸出自体は50~60年前からあった」が、SNSが普及した頃から錦鯉の文化が知られ、世界中にファンが拡大した。
 「経済成長が著しく、鯉が滝を登り竜となる『登龍門』のたとえがある中国では、今も錦鯉ブームが続いています。中国以外のアジア・ヨーロッパ各国からも、数多くご注文をいただいている状況です」

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「錦鯉の魅力を多くの人に知ってもらいたい」と語る間野太代表取締役社長

 3年前からはユニークな取り組みも始めた。錦鯉グッズを開発・販売する「DAINICHI」ブランドの立ち上げだ。
 「きっかけは、海外愛好家が小千谷の養鯉場へ視察・買い付けに訪れていたことです。錦鯉好き同士のつながりで一晩中盛り上がり、帰りに錦鯉に関連するお土産を持たせていたのですが、何かオリジナルのグッズができないかと考えたのです。今は地元・小千谷市にある企業とのコラボで新商品開発も行っており、まちおこし的なことにもつながれば嬉しいですね」

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オリジナルグッズには、賞を受賞した錦鯉の柄が施されている

 錦鯉はある種の「成功の象徴」「高級品」といったイメージがある。だが、近年それは変化してきているという。
 「われわれが年間で販売する数万匹の錦鯉も、末端価格で数百万円の値がつくのはごく一部。むしろ数が多いのは数百~数千円クラスです。最近は若い世代で錦鯉の水槽飼育が、ちょっとしたブームになっています。錦鯉は大きくなるにつれ泳ぎ方も優雅になってくるから観賞しても楽しい。新入りが来てもけんかをせず、人間にも懐く。錦鯉文化の裾野をもっと広げていきたいと思っています」

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