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カルチャーコラム<br>ピーター・フランクルさん<br>聞き上手こそ旅を楽しむコツ⁉旅の醍醐味とは

ピーター・フランクル
数学者・大道芸人
1953年ハンガリー生まれ。71年(18歳の時)に国際数学オリンピック金メダルを獲得。75年にパリ第7大学へ国費留学、78年ハンガリーサーカス学校で舞台芸人の国家資格を取得。79年フランスに亡命し、イギリスなど多数の国で講演・共同研究を行う。87年フランス国籍取得、88年より日本に定住。98年ハンガリー最高科学機関であるハンガリー学士院のメンバーに選出。

カルチャーコラム
ピーター・フランクルさん
聞き上手こそ旅を楽しむコツ⁉旅の醍醐味とは

訪問した国は100カ国以上、大学で講義できるレベルで習得した言語が12カ国語というピーター・フランクルさん。日本国内も全都道府県を各10回以上訪れているという旅の達人です。旅を愛してやまないピーターさんに旅の醍醐味(だいごみ)や楽しみ方を伺いました。

旅の原点は外国への家族旅行

 13歳の時に、初めて国境を越えて当時のチェコスロバキアとポーランドに行きました。両親と姉の家族4人、車で行ったこの家族旅行が僕の旅の原点です。
 ポーランドでは生まれて初めて海を見ましたし、両国の街並みや遺産にも魅了されましたが、最も興味深かったのは、国境を越えることで言語や民族が変わり、民族間に摩擦や交流があることでした。長い歴史の結果、ポーランド人とハンガリー人は仲が良いのに、スロバキア人とハンガリー人は仲が悪いとか(笑)。大した移動距離でなくとも国が変わると、人も変わることを実感しました。
 当時はもちろんGPSもスマホもありませんから、地図を片手にナビゲートしたりして、結構僕も役に立ったんですよ。
 今では考えられないことですが、ホテルなどないポーランドの田舎町で夜になってしまった時は、全く知らない人の家のドアをたたいて泊めてもらいました。初めて会う外国人をよく受け入れてくれたと思います。まさに「旅は道連れ世は情け」ですね。
 この時の旅が非常に印象的で「外国に行くのは面白い!」と旅の虜(とりこ)になりました。

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 高校生になって経験したのが、鉄道の旅。同級生たちとドイツのドレスデンやロシアのモスクワまで行きました。ドレスデンでは、初めて路面電車に乗りましたし、また、モスクワまでの片道36時間の旅は友達とゲームをしたり、議論したり、食堂車でご飯を食べたりと、道中も楽しいことを知りました。
 大人になってからは、100カ国以上を訪問し、機会があれば、路上で大道芸を披露しています。今でも現地で知り合った人の家になるべく訪れようとするのは、原点の家族旅行の楽しい思い出があるからかもしれません。
 旅行って一般的に「どこか遠くへ行くこと」と考えられがちですが、僕は距離に関係なく、「非日常的な体験をすること」だと思っています。
 中でも一番楽しいのが人との出逢いです。また、年を重ねて同じ場所を訪れると昔の自分との出会いもある。「温故知新」ですね。
 外国だけでなく、日本国内も各都道府県を10回以上訪れていて、新幹線も大好き。今はコロナがあって難しいですが、乗ったときは、全号車を歩いたりしているんです。僕に気付いて声を掛けてくれる人がいたら、隣に座ってちょっと話をしたりする。一度だけですが、僕の本を読んでいる人に会ったこともありますよ。意気投合して、その後お宅にお邪魔したり、住んでいる街に講演に行ったり。これはまさに旅の醍醐味です。今の状況は、こうした触れ合いが難しいのでとても残念です。

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8年前にソウルで購入した低反発枕。旅の際には必ず持参する。目立つ色なので置き忘れにくいところも気に入っているという

 僕の根底には、「人はみんな同等」という考えがあります。肩書や財産で人は判断すべきではない。僕が多くの言語を勉強したのも、その人や国へ敬意を払っているから。数日の滞在なら「こんにちは」「名前は何ですか」「ありがとう」など基本的な言葉を覚えていくだけでも、相手に礼を尽くすことになるのではないでしょうか。
 とはいえ、コロナに関係なく近ごろは声を掛けづらくなりました。というのも、特に日本では、みんな本ではなくスマホの画面を見ているからです。スマホは便利ですが、人と人が話をする機会を奪っているように思えてなりません。

旅と人生を楽しむために聞き上手になる

 旅を満喫するだけでなく、人生を楽しむようになる一番のコツは聞き上手になることです。相手にただ表面的な話をさせるのではなく、うまく突っ込みの質問をするのが聞き上手です。「なぜそれを趣味にしたのですか」「なんで今の仕事を選んだのですか。人間関係はどう?」などなど。表面的なことではなく、相手の大事な話を聞き出すのです。人は不安な気持ちや不快な体験を普通はなかなか話したがりませんが、本当は誰かに話したいし、吐き出すことで楽になります。そして吐き出させてくれる人に好意を持つのです。
 旅先で出会った人の大事な話を聞き出し、相手との距離が縮まれば、さらに充実した旅になること間違いありません。
 早くコロナが終息し、世界中の人が安心して旅や移動ができるようになりますように。いずれ必ず元に戻ると信じています。

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