ウォーターズ竹芝は、JR浜松町駅から徒歩約6分。水辺に面し浜離宮恩賜庭園を望む、ホテル、劇場、商業施設などが一体となった複合施設です。この施設の開発に当たり、「つぎの豊かさを生み出すまち」をコンセプトに、新たな価値を創出していくため、タウンマネジメント組織「一般社団法人竹芝タウンデザイン」が設立され、水辺を生かしたまちづくりの推進に取り組んでいます。
　ウォーターズ竹芝のコミュニケーションワード「水辺の自由時間。」は、"やりたいことを自在に描ける、まっさらな時間がある"という意味があり、それに沿ってさまざまな施策を展開しています。「船着場」や「干潟」が隣接する複合施設は全国的に見ても例がなく、唯一無二の存在です。船着場からは定期船が発着し、浅草やお台場など5拠点へのショートトリップが楽しめ、造成された干潟は多様な生物の棲み処を提供するだけでなく、東京湾の生物やゴミ問題などに触れられる環境教育の場となっています。

東京湾の再生につなげる竹芝干潟での取り組み

　当施設開発に当たり、2016年より干潟造成予定地で水生生物や水質などに関する環境調査を継続的に行った結果、ミミズハゼやアベハゼ、ビリンゴなど希少な魚たちを含む多様な水生生物の生息が確認できました。干潟を地域に開き、環境教育の場、水辺を楽しめる憩いの場として提供することで立地の魅力がさらに高まり、今日の東京湾再生の取り組みにつながります。

「地域・市民協働」で再生プログラムを作り出す

干潟マイスター講座で受講者と「タイドプール」を作る様子

　地域・市民協働で取り組むに当たり、竹芝干潟アドバイザーとして、東京海洋大学水圏環境教育学研究室、海辺つくり研究会、（株）水辺総研、ココペリプラス、箱根植木（株）と当法人が連携し、東京湾再生の方向性や協働プログラムの検討と実施を行っています。
　毎月第2日曜日に開催している「竹芝干潟オープンデイ」（※）では、干潟・生物のガイドの解説付きで実際に干潟に入って"知る"活動を実施しています。漂着したゴミを通して、家庭から出た油分が固まったオイルボールの存在を知り、雨天時の下水道から河川への越流水による、生物への悪影響などを学ぶなど、生きた課題解決学習の場となっています。
※「竹芝干潟オープンデイ」に参加ご希望の場合は、下記URLより詳細をご確認ください
https://waters-takeshiba.jp/waterside/#tideland
　また、年に1回開催している「干潟マイスター講座」では、海と干潟の関係性を学びながら干潟の再生スキルを身に付け、タイドプール（潮だまり）やカニの生息場（カニ塚）を協働で作り、現在もモニタリング中です。今年も秋ごろに開催し、干潟に関わる市民を増やしていきたいと考えています。

干潟に漂着したオイルボールを含むゴミ

　さらに、隣接する東京都立芝商業高等学校との連携では、生徒から「干潟部（同好会）」をつくりたいというお話しがあり、今年度から本格的に活動がスタートしています。

国連のオーシャンディケードラボラトリーに採択

　2021年からスタートした「国連持続可能な開発のための海洋科学の10年」の戦略「オーシャンディケードラボラトリー」に竹芝干潟が採択され、7月に開催された国際会議で活動内容の発信を行いました。
　ウォーターズ竹芝は、単一的な複合施設ではなく、市民が憩い、生態系と関わり、オーシャンリテラシーを身に付ける場所としての取り組みを継続し、幅広い視野でSDGsの達成に貢献していきます。

［報告者］
髙橋 愛美
JR東日本 東京支社
事業部 企画・地域共創課
エリアマネジメントPT