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地域発!世界を支えるものづくり<br>「下総醤油」海外への飛躍とその魅力

オリジナル商品「下総醤油」は、木桶で約1年間発酵・熟成させる

地域発!世界を支えるものづくり
「下総醤油」海外への飛躍とその魅力

かつて下総国とよばれていた千葉県北部。ここで1854年に創業したのが「ちば醤油」だ。この老舗企業は21世紀になって、自社オリジナルブランド「下総醤油」の開発をきっかけに、国内外の飲食店にファンを拡大している。そんな同社の飯田恭介社長にお話を伺った。

【Company Profile】
ちば醤油株式会社
代表取締役社長:飯田恭介
本社:千葉県香取市木内1208
設立:1964年(創業1854年)
従業員数:正社員90名、準社員70名
事業内容:醤油醸造・加工調味料の製造・販売

二つの老舗醸造所が合併、ちば醤油が誕生

 ちば醤油が設立されたのが1964年。江戸期創業の老舗醤油醸造所・大村屋と飯田本店が合併しての誕生であり、その歴史は170年もの長きにわたるものだ。
 現社長の飯田恭介氏は大学卒業後、一度はジーンズメーカーに就職したが、「長男として家業に戻る」と85年にちば醤油へ転職。当時の状況は「ブランディングも何もない時代」で、地域密着を信条に「酒屋・そば屋・佃煮屋さんといった地元商店を中心に、会社から車で10分くらいの範囲が商圏だった」という。
 「商圏が限られているので、5000軒ほどのお得意さまを1軒1軒回って集金し、注文も取っていました。私は、もっと別のことに時間を使ってほしいと感じ、効率化を図ることを決意しました」と飯田社長。当初はやり方が変わることへの社内の反発もあったが、集金代行会社へ外注するなど約10年間かけて営業改革を行い、体制のスリム化に成功したという。

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「日本の醤油文化を海外にも伝えていきたい」と語る飯田恭介代表取締役社長

自社オリジナル商品が新規市場開拓の契機に

 同社の醤油は全国醤油品評会で何度も農林水産大臣賞を受賞するなど、品質には定評があったが、残念ながら知名度は高くなかった。その転機となったのは04年4月、自社オリジナル醤油「下総醤油」を開発したことだった。
 醤油は、蒸した大豆、いって砕いた小麦とこうじ菌を加え、製麹(せいきく)室で約2日間かけて、こうじをつくる。そこに食塩水を加え、「もろみ」としてタンクで温度管理・撹拌(かくはん)を適宜行いながら発酵させていく。熟成後、布による圧搾、最終工程の火入れがなされて完成する。

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(左)醤油づくりの工程をご説明いただいた醸造部の佐々木優大部長 (中央)蒸した大豆、いった小麦、こうじ菌でこうじをつくり、できたこうじに食塩水を混ぜ、もろみをつくる (右)もろみを3日間搾ることで醤油が造られる

 オリジナル醤油「下総醤油」の特長は国産の丸大豆・小麦・塩のみを使用していること、そして江戸時代から代々継承されている円周約10メートル・容積8000リットルの大きな木桶で仕込まれることだ。
 最初の数年間は「鳴かず飛ばずの状態で返品率も高かった」。しかしグルメ雑誌『dancyu』(06年5月号)の特集記事で下総醤油が取り上げられ、同誌上で選考委員による「ピカイチの醤油人気ナンバーワン」に選ばれた。
 「そこから風向きが変わりました。全国醤油品評会で農林水産大臣賞を受賞するなどの実績はありましたが、一般消費者から直接『ちば醤油さんの醤油が欲しい!』と言われるようになったのはそれから。横同士のつながりなのか、その後もマスコミに当社製品をたびたび取り上げていただき、下総醤油の知名度が上がっていったんです」

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オリジナル醤油「下総醤油」は、グルメ雑誌で「どんな料理にも合う」と称賛された

海外に出店する飲食店を通じ日本の醤油文化を
伝えていく

 日本の食文化に醤油は欠かせない。以来、ちば醤油は多くの和食店やうなぎ専門店などで採用され、飲食業界にその名をとどろかせた。特に強い関心を示したのがラーメン業界。近年はこれまでの主要取引先となる業務用製品(BtoB)、自社オリジナル製品(BtoC)に加え、こうした個人飲食店向けPB・OEMによる醤油・ラーメンスープやそれに使うかえし・つゆ・たれの開発に注力している。
 日本から出店した海外飲食店にも同社製品のファンは拡大。今後出店を計画する企業・事業者を対象に、海外向けメニューの提案・オリジナル醤油の開発・海外でのビジネスマッチングなどの支援も行う。

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同社のネットショップでは、百貨店やスーパーでの取り扱いがない製品も購入できる。
https://www.chibashoyu.com/shopping/top.html

 「現在まで26カ国で当社醤油が使われています。発酵・醸造の技術を学ぼうとするアメリカの個人商店からメールが来たときは、技術者を現地へ派遣し、イチから醤油造りを教えました。私の先祖である飯田佐次兵衛(5代目)はハワイで醤油醸造をしたこともある。今後も千葉県から海外向けに日本の醤油文化を伝えていきたい」
 1854年の創業から間もなく170周年を迎えるちば醤油。創業の地から羽ばたき、広く世界と向き合っている。

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