誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に向けて、「移動」の充実は非常に重要な要素の一つです。私たちJR東日本グループは、ご高齢の方やお身体の不自由な方などすべてのお客さまが、安心して快適に駅や列車をご利用いただけるよう、ハード・ソフト両面からさまざまな取り組みを進めています。
　例えばハード面では、2000年以降、約1000億円の設備投資を行い、駅におけるエレベーターやホームドアを整備しているほか、車いすをご利用のお客さまが快適に電車をご利用いただけるよう、ホームと列車の隙間を小さくする「くし状部材」の設置や、北陸新幹線に「車いす用フリースペース」を導入するなど、ご利用環境の整備に取り組んでいます。

ホームと列車の隙間を縮小する「くし状部材」の設置

　また、ご利用に際し、ご案内が必要なお客さまの列車をお待ちいただく時間を短くするため、係員の迅速な応対を支援する「お客さま乗降連絡アプリ」を山手線、京葉線、南武線で導入するなど、新たな技術を積極的に取り入れサービス品質の向上に取り組んでいます。
　ソフト面では、駅係員だけではなく、すべての社員が「サービス介助士」の資格を取得することを目指し、2021年3月末現在で23,300人を超える社員が取得しています。お身体の不自由な方などお困りのお客さまのご要望をしっかりとお伺いし、丁寧なコミュニケーションを通じて、目的地まで快適にご利用いただくため、できる限りご要望に沿った柔軟な応対を行うよう、社員教育を実施しています。また、「心のバリアフリー」の教育を進めることでマインド、技量の双方における応対スキルの向上に努めています。

「お客さま乗降連絡アプリ」を用いたご案内の流れ

広がるサポートの輪「声かけ・サポート」運動

　また、すべてのお客さまに安心して「移動」していただくためには、当社だけではなく社会全体で、お困りの方をサポートする風土の醸成も必要不可欠です。そこで、ソフト面で特に力を入れているのが、「声かけ・サポート」運動です。「声かけ・サポート」運動は他の交通事業者や自治体と連携し、お困りになっているお客さまへ、社員から積極的にお声かけやサポートをするとともに、ご利用のお客さまにもお声かけへのご協力をお願いする運動です。実施にあたっては、お声かけする対象の当事者の皆さまからのご意見もお伺いし積極的に取り入れることで、お困りのお客さまに寄り添った運動を展開しています。

2021年度「声かけ・サポート」運動 ポスター

　今年度は全国の交通事業者83社局と関係7団体が共同で、7月5日（月）から9月5日（日）の期間に「声かけ・サポート」運動強化キャンペーンを実施します。お困りのお客さまを見かけましたら、「お手伝いしましょうか」といったお声かけのご協力をお願いします。
　これからも、ハード・ソフト両面でバリアフリーを確実に推進するとともに、「声かけ・サポート」運動を通して、社会全体でお困りの方をサポートする風土を醸成することで、誰もが安心して暮らせる共生社会を実現し、SDGsの達成に貢献していきます。

［ 報告者 ］
清水 一貴
JR東日本 鉄道事業本部
サービス品質改革部 企画・品質戦略グループ