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JR東日本のダイバーシティの取り組み<br>ダイバーシティで社会を変える(後編)

JR東日本のダイバーシティの取り組み
ダイバーシティで社会を変える(後編)

JR東日本は本体で約5万人、グループ全体では7万人を超える社員が働いている。その一人ひとりが力を発揮するために、ダイバーシティへの取り組みは欠かせない。JR東日本の行う具体的な施策について聞いた。

2004年から女性の活躍推進に注力

 近年、多くの日本企業がダイバーシティに取り組んでいるが、JR東日本は、比較的早い段階から、ダイバーシティに関する取り組みを推し進めてきた。人財戦略部人財育成ユニットの大沼芙実子さんは、その理由について次のように語る。

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大沼 芙実子
JR東日本 人財戦略部 人財育成ユニット

 「当社が成長するためには従来の輸送サービスだけでなく、多様なサービスを提供することが必要です。お客さまの多様化するニーズに応えるためには、提供側の社員も多様性に富んでいることが欠かせません。誰もが働きやすい環境を整え、多様な背景の人たちが力を発揮できる社風をつくることが、当社の成長を加速する鍵だと考えます」
 最初に取り組んだのは、女性が働きやすい環境づくりだ。国鉄分割民営化によって会社が誕生した1987年当時、社員に占める女性比率は1%未満。しかもその大半が系列病院の看護師などであった。しかし、2020年4月現在では女性比率が16・2%まで増加。運転士や車掌、車両メンテナンスなど多くの業務で女性が活躍している。

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JR東日本は、LGBTQ等が働きやすい職場づくりを推進する企業等を支援する「work with Pride」が策定した評価指標において、4年連続で最高評価「ゴールド」を受賞。女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況などが優良な企業を認定する制度「えるぼし認定」についても2016年に最高評価の「3段階目」に認定された

 転機は、1999年の改正労働基準法の施行で、女性の時間外労働などの規制が撤廃されたこと。その後、2004~08年度にかけて実施した「Fプログラム」では、「新卒採用の女性比率20%以上」を目標に掲げ、女性社員の車掌や運転士などへの運用を徐々に拡大。「仕事と育児の両立支援」をするために育児休職期間の延長や育児支援金の支給、再就職支援制度の新設などを行った。
 09年からは第2ステージとして「ワーク・ライフ・プログラム」という、女性に限らず全社員を対象とする取り組みに着手した。10年には短時間・短日数勤務制度を導入し、事業所内保育所を整備。21年4月現在、保育所は14カ所に増え、全支社に設置されている。さらに職場単位で同プログラムを推進する委員会をつくり、職場のダイバーシティ推進を社員自ら行う仕組みを築いた。

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事業所内保育所は21年4月現在、14カ所で運営中。JR東日本全支社に設置している

 さらに、16年からは「ダイバーシティ・マネジメント」として、障がい者や外国籍社員、LGBTQなどさまざまな社員が働きやすい環境づくりに取り組みの範囲を広げた。

礼拝スペースの設置や制服デザインの変更も

 障がい者に関しては採用イベントなどを通じて、毎年平均30人ほどを採用。現在約800人が働いている。内勤業務の他、駅などの現場で働く人もいる。08年には特例子会社として、株式会社JR東日本グリーンパートナーズを設立、さまざまな障がいのある人が就労できる環境を設けている。
 外国籍社員に関しても、12年頃から積極的に採用。約80人が正社員として働いており、海外事業をはじめ、幅広い分野で力を発揮している。ムスリムの社員のために、本社ビルなどには礼拝スペースを用意。食堂と連携し、ハラル対応もしている。

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ムスリムの社員向けに、本社などに礼拝スペースを設置

 LGBTQについては、18年から社宅や手当などの福利厚生を、同性パートナーにも使えるように制度を改正。20年には制服のスカートを廃止し、男女ともにズボンとするなど、性差の少ないデザインにリニューアルした。全社員を対象としたコンプライアンス関連ハンドブックにもLGBTQの項目を設け、勉強会などで意識の浸透を図っている。さらに当事者同士が互いに日頃感じていることを共有し合えるよう、19年にはLGBTQ社員のためのネットワーク交流会を開催。ダイバーシティ相談窓口も設けた。結果、LGBTQについての取り組みを評価するPRIDE指標で、4年連続でゴールド評価を獲得している。

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制服のデザインを統一し、帽子も男女関係なく好きなデザインを選択できるようにした

 高齢者雇用に関しても、60歳の定年後65歳まで再雇用する「エルダー社員制度」を導入し、現在約1万人が利用している。人事担当が一人ひとりと面談し、グループ会社などへの出向の他、従来の職場で働き続けるなど、社員の能力等に応じた活躍の場を提供している。
 「今後は女性管理職10%以上の実現や、職場の女性用設備の充実などに向け、さまざまな施策を進めていく予定です。また、フレックスタイム制をオフィスワーカーだけでなく、工事区や車両センターなどの現業機関にも広げており、全社員が柔軟な働き方ができる環境づくりを目指しています」(大沼さん)
 18年に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」では、「社員・家族の幸福の実現」をフォーカスポイントに掲げた。その実現に向けて、ダイバーシティ環境の整備や風土の醸成を着実に実行し続けている。


JR東日本グループの取り組み

 株式会社JR東日本グリーンパートナーズは、JR東日本の特例子会社として、障がい者の雇用促進と安定を図るために、2008年に設立された。現在の業務は、JR東日本の社員が着用する制服の管理や、名刺・名札の製作、JR東日本のメールセンターにおける事業便の仕分け・発送などを行っている。
 「TRAIN SUITE 四季島」の関連作業にも関わっており、客室のアメニティーグッズの在庫管理、またグランクラスで希望者に提供される「木のストロー(3月までの試行実施)」の製作なども、同社の仕事。「木のストロー」はお客さまが直接触れるものであるため、衛生面にも細心の注意を払い、作業は進められている。障がい者であるスタッフに指導員が付き、迷うことなく仕事ができるようサポートする。

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「木のストロー」の材料となるスライス材の状態が1枚1枚違うため、それに合わせて真っすぐなストローを作ることに苦労しているという

 「直接、お客さまが使用するものに携われるのがうれしい」と同社のスタッフは語る。JR東日本グループの一員として、社会にいかに貢献するか。同社のスタッフたちは、その思いで日々の業務に取り組んでいる。

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