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JAL(日本航空株式会社)が目指す<br>地域共創型の「New Normal」なワークスタイル<br>ワーケーションのすすめ(中編)

JAL(日本航空株式会社)が目指す
地域共創型の「New Normal」なワークスタイル
ワーケーションのすすめ(中編)

新型コロナウイルス感染症の拡大により、注目を集めるワーケーション。日本航空では、いち早く2017年7月に、働き方改革の一環として制度化している。そんな同社に、ワーケーションの効果、今後の展望を伺った。

休暇取得の支援策としてワーケーション制度を導入

 日本航空では2017年、社員の年間総実労働時間を、1850時間以内にすることを目標に掲げた。この目標を達成するには、毎月の残業時間を4時間程度に抑えた上で、年間20日間の有給休暇を取得してもらう必要がある。
 しかし社員からは「長い休暇を取ると、その後の業務が大変になってしまうので、なかなか休めない」「旅行の計画を立てていても、仕事が入ってくると旅行を取りやめざるを得なくなるときがある」といった声も多く聞かれ、いかに社員が休みやすい環境を整えるかが課題となっていた。
 「そこで休暇取得を促進するための支援策として、17年7月より、休暇中でも一部業務に携わることを認めるワーケーション制度を採用することにしました」と、人財本部人財戦略部厚生企画・労務グループアシスタントマネージャーの東原祥匡氏は語る。

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東原 祥匡氏
日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部 厚生企画・労務グループ
アシスタントマネージャー

 ただし当時は、まだワーケーションに対する認知度はかなり低かった。休暇取得促進のための制度であるにもかかわらず、「休暇先でも働かせるつもりか」と、誤解をする社員もいたという。
 そこで同社では、17年12月と18年2月に、和歌山県白浜町で体験ツアーを実施。また18年7月には、社内イントラネットに特設ページを開設するなど、社員向けにワーケーションの説明や、休暇先でのオススメのコワーキングスペースの紹介などを行った。
 さらに19年5月からは、出張の前後に休暇を取得することで、出張先で観光などを楽しめるブリージャーの制度も導入した。
 そうした中でワーケーションの利用者数は徐々に増えていき、18年度の利用者数は延べ174人、19年度は同じく247人に達した。

社員が感性を磨き地域に目を向ける機会に

 同社では、和歌山県白浜町での体験ツアー以降も、ワーケーションを活用しながら休暇を取ることの意義を実感してもらうために、社員向けにさまざまなプログラムを実施している。
 「仕事をする中で、家と会社の往復が続くと、視野も狭くなりがちです。ワーケーションを使ってどんどん外に出て行き、感性を磨いてほしいと考えています」

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宮城県の鳴子温泉ではワーケーションを利用しつつ、社員同士で今後の制度の在り方について議論を交わした

 19年2月には、約20名の社員が家族とともに3泊4日で、鹿児島県徳之島町を訪ねるワーケーションモニターツアーを実施した。参加した社員からは、「自分の生き方を考えるよい機会になった」「島の人と触れ合う中で、島にとっては飛行機が貴重な足であることを知り、自分たちの社会的な役割を考えさせられた」などの感想が寄せられた。東原氏はワーケーションに対して、「単に社員がリフレッシュできるだけでなく、社員が地域の課題やニーズを把握し、地域活性化に貢献できる取り組みにもなり得ると感じた」という。

自分の時間を自身でマネジメントする

 20年度からは、地域創生事業などを行う株式会社アドリブワークスの協力を得て、全国で地域活性化に取り組む事業者を同社の社員が数名程度で訪れ、ワーケーションをしながら、地域課題の解決に貢献するというプログラムを開始した。例えば、岩手県では、町に古くから残る重要文化財を、交流施設として活用する計画について、同社の社員と地域の事業者や団体が参画し、さらに、そこで開催されるイベントの企画づくりにも取り組んでいく。
 「仕事をしながら地域活動もできることは、社会意識の高い社員にとっては、とても魅力的なはずです。社員から『この会社で働き続けたい』と思ってもらえる会社であるためにも、こうした活動は大切だと考えています」

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愛媛県の果樹園で実施された社会貢献活動の様子。社員の家族も参加した

 プログラムは、新型コロナウイルス感染症の影響で遅れは出ているものの、岩手県をはじめとした5県で開始し、今後拡充していく予定だという。
 これらの取り組みを通して、同社が目指す「New Normal」なワークスタイルである「自分の時間を自身でマネジメントできる人財」へと社員一人一人が成長することが狙いだ。長期的視野に立った同社の新しいワークスタイル推進への挑戦は続く。

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